他人事じゃない?!事業主が実際に裁判をするときに知っておきたいこと
前回に引き続き、中小企業の経営者や個人事業主の皆さまに知っておいていただきたい、「裁判」についてお届けします。
今回は、前回お届けした裁判所及び裁判の概要に続き、ビジネスでの裁判事例、具体的な裁判の手続き方法をお伝えしていきます。
まず、実際に個人事業主が裁判を利用する可能性のある事例を3つ挙げます。
1. 代金回収
顧客先が代金を支払ってくれない場合に行う売買代金請求訴訟。
スーパーでの買い物などは、商品と引換えに代金を支払うのでまずトラブルにはなりませんが、商品の引渡しや役務の提供と代金決済が同時に行われない場合にはトラブルになることがあります。
なお、代金支払を求める法的な手続としては、訴訟のほかに、簡易裁判所で簡易に支払請求する「支払督促」という手続もあります。
2. 債務不履行
契約上果たすべき義務を守らなかったこと(債務不履行)による、損賠賠償請求訴訟。
制作を依頼したホームページがいつまでたっても完成しない、納品されたホームページが仕様通りではない、というようなケース、アリがちですね。
このような場合には、契約を解除したり、損害賠償を求めることができますが、相手方がこれに応じない場合には、訴訟を提起して解決を図ることになります。
3. 不法行為
不法行為に基づく、損害賠償請求訴訟。
カスタマーハラスメントを受けて従業員がうつ病になった場合や、客先に向かう途中に相手の過失で交通事故に遭った場合、ポータルサイトなどネットで店舗や商品の誹謗中傷をされたなど、契約関係にない当事者間の紛争のなかでも不法行為、つまり故意や過失で他人に損害を与える行為については、やはり損害賠償を求めることができ、話合いで解決しない場合には訴訟提起も検討することになります。
裁判には様々な手続きがあり、その流れや期限を理解しておくことが重要です。
手続きには、概ね、以下のようなものがあります:
- 訴状提出(原告側):裁判を起こすための書類提出。
- 答弁書提出(被告側):請求を受けた場合に訴状の記載に対する反論書。
- 主張書面及び証拠の提出:主張を記載した書面及びその主張を裏付ける資料
- 当事者・証人尋問:証言を求める手続き。
(画像:裁判所ホームページhttps://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_05/index.html より)
1. 訴訟で実現するビジネス上の目的と目標を明確にしよう
裁判を行う目的や最終的に達成したい目標を明確にすることが大切です。例えば:
- 損害賠償の請求:具体的な請求金額の基準。
- 契約の履行:契約の履行を求める場合の具体的要求。
- 名誉の回復:毀損された名誉の回復を求める場合の措置の内容。
目的、目標が明確であれば、裁判の戦略も立てやすくなります。
2. 伴走する専門家を選び、アドバイスを得よう
裁判に関する法的知識がないと、準備が不十分になる可能性があります。弁護士や法律の専門家からアドバイスを受けることが重要です。弁護士は以下のような点でサポートします:
- 法律の解釈:自分の立場に適した法律の理解。
- 戦略の立案:裁判に向けた適切な戦略の提案。
- 書類の作成:必要な法的書類の作成やレビュー。
3.勝てる証拠を集めよう
裁判においては、証拠が非常に重要です。証拠とは、事実を証明するための書類やデータ、証言などです。以下の点を確認しましょう:
- 契約書や請求書:取引の詳細を示す文書。証拠のなかで最も重要な資料です。
- 議事録、手紙、メール、SNSメッセージや会話録音:コミュニケーションの記録。
- 写真や動画:物理的な証拠を示すためのもの。 証拠を予め準備し整理しておくことで、裁判の際に迅速に提示でき、主導権を握ることができます。
4. コストとリスクを管理しよう
裁判には費用がかかるため、予算を立てておくことが重要です。費用には以下が含まれる場合があります:
- 弁護士費用:弁護士に支払う報酬。
- 裁判所の手数料:訴状やその他の書類にかかる費用。
- その他の費用:証人の交通費や証拠の準備費用など。
また、裁判のリスクも考慮し、勝訴できる可能性や敗訴の可能性を評価しておくことも重要です。
以上が、中小企業の経営者や個人事業主の皆さまにも知っておいていただきたい、裁判のポイントです。
「目的と目標を明確にした上で、戦略を練る。」
ビジネスにおいても同様ですが、複雑で専門的な訴訟で目的を勝ち取るためには専門家からの適切なアドバイスが欠かせません。
たまプラーザBizCivic法律事務所では、ビジネス上のトラブルの解決や訴訟対応をお手伝いしています。
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