個人事業主でも知っておきたい!裁判所の手続き

今回は、中小企業の経営者や個人事業主の皆さまにもぜひ知っておいていただきたい、「裁判所の手続」である「裁判」について、2回に分けてお届けします。

「裁判」と聞くと何やら不穏な印象を抱くかもしれませんが、ビジネスを行っている限り、誰もが当事者となる可能性があるものです。
ぜひ、「裁判」が皆さまのビジネスの武器、防御となるよう、知識を備えておいていただければと思います。

今回は、裁判所及び裁判の概要についてご説明します。

裁判の目的とは?のタイトル画像

裁判の目的は、「法律上の紛争の解決」とされています。
もちろん、日常のビジネスにおいて、裁判に参加するようなことは滅多にありません。

しかし、当事者同士の主張が対立していて話し合いでの問題解決が難しいとか、そもそも相手が話し合いに応じないといったときに裁判という手続を取ることができます。

ビジネスでは滅多に使わない手続ではあるものの、いざという時に使うと強力な効果を発揮できる「伝家の宝刀」が裁判なのです。

そして、裁判の手続きをとることで、強制執行の手段を得ることができます。
これにより、裁判で得られた「判決」に基づいて、相手方に対して自己の権利を強制的に実現することができるようになります。

具体的には、裁判所の主導で、貸金請求権に基づいて相手方の財産を差し押さえて競売にかけて現金を回収する、とか、不動産引渡請求権に基づいて相手方の不動産占有を強制的に取り上げて債権者に移すなどの手段をとることができるのです。

また、裁判の手続の過程で、「裁判官」という第三者を交えた当事者間の話し合いの場(「和解期日」といいます)を持つことができるという利点もあります。

ビジネスで使われる裁判所の種類のタイトル画像

裁判所には、図のように、いくつか種類があります。

最高裁判所(東京都千代田区隼町)に行くことは、本当に稀だと思いますが、各県や大きな市にある地方裁判所や簡易裁判所は、皆さんにとっても比較的身近な存在ではないでしょうか。

ちなみに、青葉区・緑区・都筑区を管轄する横浜地方裁判所や横浜家庭裁判所は関内にあり、神奈川簡易裁判所は東神奈川にあります。

(画像:裁判所ホームページ「裁判所NAVI(https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/R2_navi.pdf)」より)

裁判には、大きく分けて、民事裁判と刑事裁判があります。
簡単に言うと、民事裁判は「個人間の紛争」を対象とし、刑事裁判は「犯罪」を対象とするという違いがあります。

民事裁判には、一般の貸金や不動産トラブル、損害賠償事件などを扱う「通常訴訟」や家族内の問題を取り扱う「人事訴訟」等があります。

民事裁判(裁判) @地方裁判所 or 簡易裁判所

人事訴訟を除き、民事裁判は地方裁判所(地裁)または簡易裁判所(簡裁)で行われます(人事訴訟は家庭裁判所で行われます)。
なお、簡裁は、140万円以下の請求訴訟を管轄しており、地裁に比べて手続が簡易です。
民事裁判には、具体的にこんな事例があります。

  • 売買代金請求: 商品やサービスの売買契約に基づく未払い代金の請求。
  • 貸金請求: 貸付金の返済を求める請求。
  • 不動産や動産の引渡(明渡)請求: 不動産や動産の所有権に基づく引渡しや明渡しの請求。
  • 損害賠償請求: 事故や契約違反などにより生じた損害の賠償を求める請求。

ちなみに、労働問題(解雇、賃金未払いなど)の解決を目的として、地方裁判所で行われる手続として、「労働審判」があります。

正確には、「裁判」ではなく「審判」という手続ですが、「審判官」という第三者が使用者と労働者の言い分を聞いて、労使紛争を裁定する手続で比較的よく使われています。

(画像:裁判所ホームページ「裁判所NAVI」より)

刑事裁判

刑事事件は、法に違反した行為があった場合に行われる裁判で、原則として、国家機関である検察官が起訴することによって開始されます。
例えば、窃盗、詐欺、暴行、殺人などの犯罪行為が対象になります。


先ほどの図でご紹介した裁判所のホームページ「裁判所NAVI」では、裁判所の概要や裁判の仕組みが易しく説明されていますので、参考にされるとよいでしょう。

次回は、具体的な裁判の手続き方法や、ビジネスでの裁判事例などをお伝えしていきます。

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