広告/マーケティングでは押さえておくべき!景品表示法の重要ポイント

こんにちは。

田園都市線沿線・地域密着型法律事務所、たまプラーザBizCivic法律事務所の弁護士 木村俊樹です。

私たちの生活に、もはや欠かすことの出来ない、ネット取引。

そんなネット取引を支える、いわゆる「ネットビジネス」には、対面による従来型のビジネスとは異なる特徴があります。
すなわち、

  1. 売買取引をするにあたって品物を直接確認できない
  2. 取引相⼿と直接会うことができないため、相手の実態がわからず、信頼関係を築きにくい
  3. 店舗にとって購⼊者は不特定多数。個別の取引条件の要求に応じることが難しい

このようなネットビジネスの特徴から生じるトラブルを回避するために、ネットビジネスに関わる経営者、個人事業主などビジネスマンに知っていただきたいいわゆる3つの法律、「消費者契約法」「特定商取引法」「景品表示法」について、計6回にわたって解説をお届けしています。


今回は3つ目の法律「景品表示法」についてお伝えしていきます。

事業者が営業やマーケティングをする上で、プレゼントやノベルティを配布したり、商品やサービスの広告配信をすることがあるかと思いますが、その時に注意しなければならないのが「景品表示法」。

正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という法律で、商品やサービスについて、公正な競争にとって適切ではない景品や誤った広告表示を規制し、一般消費者が商品やサービスを正しく選択できるようにして、一般消費者の利益を守るための法律です。

この法律では、景品が実際よりも魅力的であるかのように見せたり、消費者を故意に勘違いさせるような広告を表示すること、さらに、過大な金額の景品をつけて不当に取引に誘引する行為が禁止されています。

景品表示法で禁止されている行為には、大きく分類して、以下の3つの類型があります。それぞれ見ていきましょう。

商品やサービスが実際よりも優れているように見せる
「優良誤認表示」

「優良誤認表示」とは、商品やサービスの品質・規格などが実際よりも優れているように見せる広告表示です。
比較広告(競合他社の商品やサービスと比較して行う広告)で、実際よりも優位性を示す広告もこれに含まれます。

商品やサービスの広告宣伝では、品質や機能について事実に基づいて、その優良性をアピールしないとこの規制に違反するおそれがあります

なお、科学的な根拠がないのに、優良な性能や効果を表示する「不実証広告」もこの「優良誤認表示」として禁止されます。具体的には、消費者庁から求められたにもかかわらずその性能や効果を証明する資料を提出することができなかった場合がこれにあたります。

取引条件を実際よりも有利に見せる
「有利誤認表示」

「有利誤認表示」とは、商品やサービスの品質・規格ではなく、価格をはじめとした取引条件を、実際よりも有利に見せる広告表示をいいます。

優良誤認表示の場合と同様、価格そのものは偽っていなくても、実際とは異なり、あたかも競合他社の商品やサービスよりも有利な条件で購入できると、偽るような広告表示もこれに含まれます。

不適切に高額な景品配布を規制する
「景品類規制」

商品やサービスの販売促進のために配布するプレゼントやノベルティなどの景品配布の際に注意すべきなのが、不適切に高額な景品配布の制限です。

商品やサービスの購入を促すために、取引の額に比較して不適切に高額な景品を配布した場合、景品表示法の景品類規制違反となるおそれがあります。

景品の種類や配布方法によって次の3つの類型ごとに、景品1つあたりの「最高額」と、景品全体の「総額」などの上限が決められています。

◆一般懸賞
商品やサービスの利用者に、くじや抽選によって景品類を配布する一般的な懸賞形式のもの(次の「共同懸賞」に該当するものは除く)

◆共同懸賞
地域の商店街など、複数の事業者が共同でくじや抽選を実施して景品類を配布するもの 

◆総付景品
商品やサービスの販促や、イベントや店舗来店の特典など、くじや抽選によらずもれなく景品類を配布する形式のもの 

なお、「オープン懸賞」(購入や来店などの条件なく申し込むことができ、くじや抽選で景品類を配布するもの)は、景品規制の対象外とされています。

商品やサービスの販売促進のために行うプレゼントやノベルティなどの景品配布については、事前に景品表示法が定める景品類の限度額を確認してお必要があります。

景品表示法に違反した場合にはどうなる?

景品表示法違反に対する行政処分として、「措置命令」と「課徴金納付命令」の2つが規定されています。

「措置命令」とは、行政庁が違反広告や景品配布の差止めや、再発防止策の実施を命令することです。

また、「課徴金納付命令」とは、悪質な不当表示(優良誤認表示や有利誤認表示)を行った業者に対し、金銭的な不利益(課徴金納付)を命じることです。
課徴金の金額は、対象となる行為によって発生した売上額の3%とされています。 


今回は、景品表示法とは何か?をお伝えしていきました。

次回は、具体的に規制される事例を紹介していきますので、ご自身の事業を思い浮かべながら、ご覧いただければと思います。