商品やサービスを提供したのに、支払いがない！そんな時どうする？
こんにちは。
田園都市線沿線・地域密着型法律事務所、たまプラーザBizCivic法律事務所の弁護士 木村俊樹です。
前回は、特別企画として行政書士の水流先生をお迎えして、弁護士と行政書士についてのお話をお届けいたしました。
今回は、売掛金の支払いトラブルについて、ケーススタディ形式でお届けいたします。
売掛金とは、商品やサービスを提供済みの状態で、まだお客様から支払われていない未回収の代金などのことを指します。
事業をしていると、売掛金の回収トラブルに見舞われることがあります。
そんなトラブルに遭遇してしまった時、一番大切なことは、素早い初動対応。
実際にどのように行動すべきなのか、事例を交えて見ていきましょう！
【事例1】
知り合いが新しく事業を始めたのですが、創業当初十分な資金がなく、事業が軌道に乗ったら支払う約束でHPを制作しました。
事業が軌道に乗ってきたようなので、毎月3万ずつ制作料を支払う契約をしたのですが、1年くらいで支払いが止まってしまいました。
法的効力がある書面を作りたいのですが、どう手続きをすればいいでしょうか？
【回答】
HP制作の際には、代金と支払方法を契約書に明記しておきましょう。
契約書がない場合はもちろんのこと、契約書があっても代金の支払いについて規定しておかないと、無償制作とみなされかねません。
次に、支払いが滞った場合で誠実な支払が期待できる場合でも口約束だけで済ませることは避けるべきで、支払条件について公正証書を作成して確定させるべきです。
公正証書は法的に強力で、支払い義務を守らない場合には、債務者の財産に対して強制執行を行うことができる書面です。お近くの公証役場で作成をしてもらうことができます。
【事例2】
代理店から仕事を受け、商品の納品が完了しているのですが、クライアントがお金を払ってくれないので、私にも代理店からの支払いがありません。
クライアントが払ってくれたらすぐに払うと、代理店側は誠意を見せてくれてはいます。
代理店と私は契約書を結んでいて、それを代理店も認めており、契約書について異議申し立てはされていないのですが、どのタイミングでどう行動をすればいいですか？
【回答】
代理店との契約で支払条件が定まっていれば、代理店がクライアントから代金を受領しているか否かに関わらず契約通り代理店に代金を請求できます。
ただし、代理店がクライアントから代金を受領後にご相談者に代金を支払う契約条件となっている場合には、クライアントに支払いを求める必要があり、代理店を経由しての法的措置を講じたり、代理店との契約を解除することも検討すべきです。
【事例3】
10回連続のサービスで、代金5万円を一括で払ってもらうという契約をしたのですが、お客様は「いま手持ちがないから」と現在2回分しか払ってくれていません。
残りの未払金を回収したいと思うのですが、電話がなかなかつながらず、何かと理由をつけて連絡が取れなくなり、最終的には契約解除するので残りの料金は支払わないと一方的に言われてしまいました。
何かしら行動をとるか、諦めた方がいいでしょうか？
【回答】
サービス契約書で未払代金の処理を規定していれば、それに従うことが可能ですが、契約書にそのような規定がない場合、クライアントに対して契約解除や未払代金請求通知を行い、裁判所を使って支払督促、または訴訟（60万円以下なら少額訴訟）の対応を検討すべきでしょう。
支払督促は簡易裁判所の書記官が発する強制執行力を持つ命令書で、迅速な手続きが期待できます。
但し、債務者が異議を述べた場合に通常の訴訟に移行する可能性があるので、そのような事態に備えて、契約書、納品書、請求書などの証拠書類を集めておくことが必要です。
売掛金のトラブルを回避するには、以下のポイントに留意しましょう。
1. 契約書で支払条件を明確に規定する
- 代金、支払期限、支払条件を契約書に記載しましょう。
- 破産や信用不安に備えて契約解除条件を設定しましょう。
2. 取引時の注意
- 取引先の重要な変化（事務所移転、従業員整理、代表者変更など）を見逃さず、取引先や周辺の関係者にその背景を聞き取り調査して信用に変化がないかを確認しましょう。
- 予め、支払遅延が起きた場合の代金回収策を用意しておき、必要な場合に相談できる弁護士を確保しておきましょう。
3. 法的措置を検討
- 取引先の誠実な弁済が期待できる場合でも債務弁済公正証書は作成し、そのような期待ができない場合には支払督促、訴訟などの法的措置を検討しましょう。
これらの対策を実践し、売掛金トラブルからあなたの事業を守りましょう。
たまプラーザBizCivic法律事務所では、売掛金の保全や回収に関するアドバイスや代理業務をご提供しています。
ご不明な点がある場合などは、お気軽にご相談ください。
