「副業」は自由?副業をする際に覚えておきたいこと
こんにちは。
田園都市線沿線・地域密着型法律事務所、たまプラーザBizCivic法律事務所の弁護士 木村俊樹です。
このところ社会的にもだいぶ認知されてきた「副業」という働き方。
今回は、副業にあたっての注意点について考えてみましょう。
まず、副業を考えている方は、通常会社などに勤務されていると思います。
勤務先によって副業に関するルールは様々ですが、前提として勤務先との労働契約の対象はその勤務時間内に限られ、労働時間外に行う副業は自由な活動です。
つまり、勤務時間が終わった後や休日に副業を行うことは基本的に許される活動です。
実際、過去の裁判例では、副業をしていた社員に対する勤務先の懲戒処分が無効とされた事例が多く存在します。
しかし、勤務先との間でトラブルになることは避けたいですね。
そこで、副業を行うにあたって注意すべきポイントを見ていきましょう。
ポイント1 規程を確認する
副業をする際には、まず勤務先の「就業規則」や「服務規程」など従業員としての遵守事項に関連する規程を確認してください。
副業との関係で自分が守るべきルールや規定があるかを確認しましょう。
遵守事項の中に、「他の会社の仕事に関わることは禁止」や「他の会社の役職に就くことは許可されない」といった規定がないかもチェックしましょう。
副業や兼業を独立事業主として自分で行う場合に関しても、制限がある場合がよくあります。
そして、「懲戒規定」も重要なチェックポイントです。どのような行動が懲戒処分の対象になるのかも把握しておきましょう。
もし勤務先に「副業に関する規程」がある場合は、どのような手続きや条件が必要なのか確認しましょう。
届け出が必要なのか、許可が必要なのかなど、関連する規則や内部規程の内容も調べておきましょう。
ポイント2 副業の許可を得るポイント
勤務先によっては、副業について許可制が設けられている場合があります。
この場合は、以下のポイントに留意しましょう。
まず、副業許可制自体は合法ですので、勤務先の制度に従って申請することが大事です。
許可申請にあたってのポイントは次の3点です(「許される副業の3つのポイント」)。
- 会社の業務に支障をきたさないこと
副業の稼働日や時間が本業と重ならないように気を付けましょう。また、副業の負担によって本業が疎かになるおそれがないように留意しましょう。
- 副業の内容が本業と競合しないこと
勤務先の事業と同業種の副業は原則として避けるべきです。また、反対に副業が本業にメリットをもたらすことがアピールできれば副業は許可されやすいと考えられます。副業で得られる知識や経験、人脈が本業に活かせると相乗効果が期待できますね。
- 申請にあたって副業に関する虚偽の情報を伝えないこと
当然のことですが、誠実に情報を伝えることが今後の勤務先との信頼関係を築く上で大切です。
副業を考えている場合、まずは上司に相談してみましょう。
ただ、上司は重要な戦力であるあなたに副業を認めることを躊躇するかもしれません。
そこで、上司の許可を得られない場合にも諦めず、さらに人事部などに相談することも選択肢の一つです。
ただ、残念ながらそれでも勤務先から副業を許可されなかった、「でも、どうしても副業をやりたい」という場合にはどうすれば良いか。
勤務先の判断が必ず正しいわけではありません。
あなたの副業が前述の3ポイントを満たしていれば、勤務先の不許可を後々覆せる可能性があります。
そこで、少なくとも前述の上司に相談した事実を記録しておくことが重要です。具体的な日付や相手との相談内容を記録しておきましょう。
ポイント3 注意事項・もしもの時の対処法
以下の注意事項を守ることで、副業と本業を円滑に両立させることができます。
ぜひ、参考になさってください。
☆注意事項☆
1.労働時間に注意すること
- 原則として労働時間については、「1日8時間、1週40時間」という法規制があります。(注)
副業者は、副業先が労働時間規制に違反しないように副業先に本業での労働時間の履歴を報告する必要があります。
副業先でも本業の労働時間との兼ね合いを考慮する必要があるのです。
副業者の労働時間管理を本業の勤務先が行えるようにするため、副業先での労働時間を勤務先にも報告しましょう。
- 副業が個人事業の場合、副業の労働時間は規制の対象とはなりません。
ただし、勤務先の労働時間との調整には留意しましょう。
(注)36協定、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制などが適用されている事業所については一部異なります。
2.副業の記録をとっておくこと
副業をする際は、その状況を記録しておくことも重要です。
記録をとっておけば、会社のルール遵守の状況を示すために役立ちますし、万一勤務先とトラブルが起きた場合に自分を守ることにもなります。
具体的には、以下の情報を記録しておくことをお勧めします。
- 業務を行なった日及び時間帯
- 業務を行った場所
- 実施した業務内容など
つまり「日報」のようなものですね。
これらの情報をスケジューラーやメール、手帳などに記録しておけば、客観的にもわかりやすく、証拠ともなります。
☆もしもの時にはどう対処するか☆
もし、勤務先から許可を得ずに行なっていた副業について、「ルール違反で懲戒処分だ!」と言われた場合、まずは、以下の項目を中心に、勤務先に対して誠実に説明しましょう。
- 勤務時間中は本業に集中していたこと
- 副業の負荷は本業に支障を与えない程度であったこと
- 副業がむしろ本業の仕事に有益であり、本業に必要な知識や経験の取得に役立っていたこと
なお、「勤務先から副業を許可されない。」とか、「勤務先の許可を得ずに行なっていた副業が判明してしまった」など、副業に関してお困りの場合には、是非たまプラーザBizCivic法律事務所にご相談ください。