さらなるビジネスの成長へ!事業提携のポイントと注意点

こんにちは。

田園都市線沿線・地域密着型法律事務所、たまプラーザBizCivic法律事務所の弁護士 木村俊樹です。

前回は、共同プロジェクトでのトラブルを防ぐためのルールである「規約」の作成方法についてお伝えしました。
事前にルールを決めることで、円滑に物事を進めることができます。

今回は、共同プロジェクトが順調に拡大し、本格的に事業を行うようになった場合に必要となるポイントをお伝えいたします。

プロジェクトが順調に拡大し、本格的な事業展開に移行する場合には、事業提携などメンバー間での契約や株式会社等の法人化の検討も視野に入るでしょう。

規約ベースの集団ではなく、「事業提携/ジョイントベンチャー(JV)」や「共同経営」「法人化」という体制を取って事業を行うことで、それぞれの事業者の強みを活かし、より活動の幅が広がります。

自社のみでは生み出せない価値のある事業を共同で行うことができるメリットがある反面、事業内容やその進め方について意見の食い違いやコミットの強弱などで不満や不公平感が生じてメリットを生かせない事態になる可能性もあります。
しっかりと契約を結び、運営体制を決めていくことが重要です。

そんな「事業提携/ジョイントベンチャー(JV)」や「共同経営」「法人化」に必要な、法律的手続きについて紹介していきます。

ジョイントベンチャーとは、共同経営体とも言われるもので、複数の異なる組織が共同で新しい事業を起こすことをいいます。

代表的な例として、以下のようなものがあります。

  • ビックカメラ ✕ ユニクロ = ビックロ
  • LINE ✕ サイバーエージェント =ゲーム事業の拡充

ジョイントベンチャーが注目される理由は、単独では乗り越えられない壁をお互いの強みを生かして一緒に乗り越えるチャンスを提供してくれる点です。

複数の企業がリスクやリターンを共有することで、新しいアイデアやビジネスモデルの実現が可能になるんですね。

つまり、ジョイントベンチャーはパートナーシップ(事業提携)の一形態と言えるでしょう。
成功にはお互いの協力と努力が欠かせませんが、その先にはさらなるステップアップの可能性があります。 

ジョイントベンチャーを始める際に、事業提携契約を各企業(個人事業主)間で結ぶ必要があります。

三者以上のジョイントベンチャーの場合にも、全ての当事者が参加して契約を締結することになります。

後に述べる法人化に比べジョイントベンチャーは属人性が高いとされています。
参加事業者の個性や意見が強く事業に反映される性格を持っています。

また、各事業者への利益分配のルール化も必要です。
ジョイントベンチャーに際しては、各事業者同士で十分協議し、納得する内容で契約を結びましょう。 

更に事業が進展すると、新しい法人を立ち上げて共同で経営するという方法もあります。

大会社同士のジョイントベンチャーでも共同子会社を設立することはありますが、ここでは複数の個人事業主が法人を立ち上げることを念頭にしています。

法人化は、設立時に定款作成や登記などの手続を行う必要がありますが、設立後は、ジョイントベンチャーよりも属人性が低く意思決定の仕組みが明確であるため、より一層事業の展開スピードが早くなります。

法人の形態も様々なものがあり、株式会社、合同会社等の会社形態のほか、一般社団法人やNPO法人があります。
最近では、労働者協同組合という新たな法人の形もできました。

労働者協同組合とは、持続可能で活力ある地域社会づくりを目的とし、3人以上で資金を出し、自分たち自身で働く新しい法人です。

労働者協同組合についての本の出版に、当たまプラーザBizCivic法律事務所も協力していますので、詳しく知りたい方は是非読んでみてください。

労働者協同組合の設立・運営がまるごとわかる本
NPO法人協同労働協会OICHI (編集)

今回は、ジョイントベンチャーと共同経営についてお話ししました。

契約や法人化によって規約ベースから事業運営の形は変わるとしても、お互いが嫌な思いをせず事業を運営することが重要であることに変わりはありません。

たまプラーザBizCivic法律事務所では、規約・契約書の作成、レビューや法人化のご支援をしておりますので、お気軽にご相談ください。