自分で事業を継続できなくなった時、会社の将来はどうなるの?!
前回は、雇用主になる時の注意点を美香さんと一緒にお届けしました。
今回は、事業を家族や第三者に承継する場合についてお届けいたします。
年齢や体調によって自分が事業を経営できなくなったとき、ご自分が経営する会社の将来はどうなるのか、不安になることはないでしょうか?
せっかく立ち上げて軌道に乗っている事業を畳んでしまうのは大変惜しいことですし、取引先や従業員にも大きな影響を与えることになります。
そこで、ご自分が事業から退くときに備えて、行っておくのが事業承継です。
事業承継は、簡単に言うと今ある事業を他の人や会社に引き継ぐこと。
事業承継によって、経営者自身が事業に携わることができなくなっても事業(会社)自体は残り続け、さらに成長することも可能になります。
将来のことを見据えて、事業承継について知っておきましょう!
事業承継は、会社の持つ経営権や資産だけでなく、経営者の想いや経営理念、そして会社の文化なども引き継ぐ重要なプロセスです。
特に中小企業では、オーナー経営者の個性や手腕が会社の強みや魅力として大きな役割を果たしています。
そのため、後継者を選ぶ際には非常に慎重な検討が必要です。
事業承継の手続き
【会社】事業と【個人】事業とを分けて考える必要があります。
今回は、株式会社の事業を承継する場合について考えます。
会社事業の承継には、①経営(経営権)だけを引き継ぐ場合と、②会社の経営権だけではなく所有権(株式)も一緒に譲渡する場合とがあります。
①の経営権のみ引き継ぐ場合には、株主総会を開催して後継者を取締役に選任し、更に(取締役会設置会社の場合には)取締役会でその後継者を代表取締役に選定する、という手続になります。
この二つの手続を行うことによって、経営権はご自身から後継者に移ることになります。
この場合、会社の所有権、すなわち株式はご自身に残りますから、とりあえず後継者の事業運営を確認したいという場合には、この方法から入るのも選択肢の一つです。
②の所有権も引き継ぐ場合には、株式譲渡契約を締結することになります。
この契約では株式の対価、支払い条件のほか、譲渡後の会社経営に対する条件(取引先や雇用の維持、事業方針など)を規定することもありますし、状況によっては買い戻しも可能な条件にしておくことも考えられます。
この場合には基本的に譲渡後の会社は承継者が役員を選任するなど自由に経営ができることになります。
後継者の選定
事業承継で重要なことは「誰に引き継ぐか」です。
後継者の選定にあたっては、次のポイントに注意することが重要です。
まず、後継者候補の経営能力やスキル、そして人柄が重視されます。
経営者としての手腕はもちろんのこと、人柄やリーダーシップ能力も見極める必要があります。
そして、経営理念や会社文化に共感し、それを引き継ぐ意欲やコミットメントも大切です。
これらの要素を考慮しながら、後継者を選ぶことで、会社の持つ価値や信頼性を維持し、持続可能な成長を実現することができるでしょう。
事業承継では、事業を構成する要素を引き継ぐことになります。以下に、その中でも特に重要な要素は以下の3つです。
1. 人(経営権)
人、または経営権は、会社を経営する権利そのもの。
後継者として、適切な人材を選び、会社の経営を引き継ぐことが重要です。
適切な後継者を選ぶことで、会社の存続と発展を確保することができます。
また、事業の円滑な承継のためには従業員や委託先の承継も欠かせません。
2. 資産
資産は、経営者が保有している株式や事業用の設備、不動産などの固定資産が含まれます。
また、知的財産や借入金といった負の資産も、事業承継の対象となります。
事前に、これらの資産を整理し、適切に評価することが重要です。
3. 知的資産
知的資産には、特許や商標、営業秘密、ブランド価値などが含まれます。
これらの資産は、企業の価値を大きく左右します。
事業承継の際には、これらの知的資産を適切に評価し、引き継ぐことが必要です。
次回は会社における事業承継よりも複雑な、個人事業主の事業承継についてお伝えしていきます。
たまプラーザBizCivic法律事務所では、事業承継のお手伝いをしています。
わからないことがある場合などは、お気軽にご相談ください。