トラブル多し!「取引の終わり方」 —万一の「出口戦略」を押さえておこう—
企業や個人事業主の契約トラブルの中でも「契約の終了」に関するものは少なくありません。
たとえば、契約期間は1年と定めていたにもかかわらず更新の手続きをしないまま取引を継続してしまい、後から「契約期間が切れていた」と気づくケース。あるいは、解約するつもりだったのに自動更新の期限を過ぎてしまい、契約が継続してしまうケース。
さらに最近では、サブスクリプションサービスでも解約時のトラブルが増えています。
今回は、こうした実務でよくある3つのケースに加え、見落とされがちなポイントも含めて整理します。

業務委託契約や顧問契約では、契約期間を定めるのが一般的です。
しかし実務では、契約満了を意識しないまま業務が続き、契約が切れていた…ということが起こりがちです。
このようなとき、終了した契約の条件は期間経過後の取引に適用されるのか、それとも適用されないのか
といった点が曖昧になり、責任関係も不明確になります。
対策としては、
✔️ 契約の開始日/終了日を管理表で管理し、満了前の一定期間に確認する社内フローを作る
✔️ 契約に自動更新条件(期間満了の一定期間前までに「更新しない」という意思表示を当事者がしない限り、自動的に期間が更新する条件)を規定しておく
といった基本設計と管理が重要です。

ところが、自動更新の条件にも盲点があります。
契約の締結時にはお互いに「末永く取引をしたい」ということで、自動更新の条項を契約に規定しておくことはよくあるのですが、当事者によっては自動更新条項が設定されていることを失念し、
"自動更新だと思っていなかった"
"期間が来たら終わると思っていた"
といった誤解でトラブルにつながることもあります。
対策としては、
✔️解約条件と通知の期限(例:満了1か月前)を管理する
✔️解約方法(書面/メール)を定める
✔️契約締結時に契約期間を適切に規定する。特に最初の契約は都度更新の条項を規定しておき、取引が順調に推移することが見込める様になったら、自動更新の覚書を締結する
+契約の種類ごとのルールを理解しておくことが重要です。
ご参考までに、注意したいのが不動産の賃貸借契約(普通賃貸借)です。
※注:「定期賃貸借契約」は契約期間の満了により契約は終了します。
事務所・店舗の賃貸では、当初は賃貸借契約で契約期間を規定していても、満了後も賃借人が使用を継続することにより、「期間の定めのない契約」に移行し、賃貸人はすぐに解約できなくなります(賃借人はいつでも解約可能)。
解約には、6か月前通知とともに解約の「正当事由」が必要になるため注意が必要です。

契約期間中の解約トラブルは、特にサブスクリプションサービスで多く見られます。
たとえば、
- 「途中解約はできない」と契約で規定しているのに、解約を通知される
- 途中解約の場合には「残期間の料金の〇%を支払う」と定めていても支払ってもらえない
といったケースです。
ここで重要なのは、「契約上のルールを作っていても、実際に回収できるとは限らない」という現実です。
そのため、途中解約のリスクがある契約書や利用規約では、「法的措置(訴訟提起、強制執行など)の可能性」まで踏み込んで規定しておくと一定の予防効果があるでしょう。
あわせて、事前決済やクレジット決済の導入など、運用面での対策も重要になります。

契約期間のトラブルは、契約条件の「設計」と「管理」で防ぐことが可能です。
特に重要なのは、
- 契約期間がいつからいつまでか
- 自動更新か都度更新か、更新の具体的な方法が明確か
- 途中解約を許すか、許すとしてその条件を設定しているか
に加えて、
- 契約類型ごとの特有ルール(不動産賃貸、サブスクなど)を意識しているか
- 実務で料金を回収できる設計になっているか
という視点です。
今ある契約について、「このままトラブルなく回せる設計になっているか?」という観点で、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
小さな見直しが、将来の大きなトラブル防止につながります。
当事務所では、契約書作成についての助言・支援を行っております。ぜひ、お気軽にご相談ください。

